刑事弁護ブログ

2019.05.08 刑事弁護コラム

無罪判決後の補償

刑事裁判で無罪が確定すると,判決前に逮捕・勾留により身体拘束されていた場合には,国に対して刑事補償の請求をすることができます。無実の人が無用な身体拘束を受けた事について,金銭的な補償を受けるための制度とされています。
補償される金額は,身体拘束期間に応じて決まることになり,身体拘束1日当たり最大で1万2500円が補償されることになります。
刑事補償の請求は,無罪判決を出した裁判所に対して行うことになり,請求から決定まで,数ヶ月程度かかるのが通常です。

また,無罪判決が確定した場合には,刑事訴訟のために支出した費用の一部についても,補償を受けることが出来ます。
私選弁護人に依頼した場合の弁護士費用などは,補償される費用に含まれることになります。
 
逮捕・勾留され,刑事裁判を受けることになってしまうと,肉体的・精神的・経済的に大きな負担を被ることになります。
無実の人が刑事裁判にかけられた場合,金銭的な補償により,こうした負担がすべて回復するわけではありません。しかし,無事に無罪判決となった場合には,刑事補償等の制度により,被った損害の一部だけでも補償を受けることが必要でしょう。

法律事務所シリウス 中井淳一