刑事弁護ブログ

2019.03.13 刑事弁護コラム

職務質問は任意ですか

警察官が通行人などを呼び止めて話を聞くことを,職務質問といいます。職務質問は,不審と思われる人物に対して行うことができるとされていますが,この不審事由は広く解釈されており,たとえば自転車で無灯火で走っている,深夜に一人で歩いている,などの理由で実際は幅広く職務質問が行われています。
一般の方も,もしかしたらこうした警察官の職務質問を受けた経験のある方も多いかもしれません。しかし,なぜこのような警察官の職務質問に協力しなければならないのでしょうか。
いえ,別に協力する義務はないのです。警察官の職務質問は,「任意」で協力するものになっていますから,応じなくてもかまいません。
しかし,「任意」にもかかわらず,警察官が拒否を認めようとしないことがあります。警察官が無理をして,「任意」にもかかわらず実力行使で制止しようとしたり,長時間その場所に留め置いたりする場合には,後からその行為が違法と評価されるケースもあります。対象者が明確に拒否の意思を警察官に伝えていた,長時間留め置かれた,物理的に退出を阻止された,などの事情が重なると,捜査は違法と評価されやすくなります。

東京ディフェンダー法律事務所 弁護士 山本衛