刑事弁護ブログ

2018.10.10 刑事弁護コラム

上申書の危険性

逮捕された際に,被疑者自身が上申書を警察官の指示で書かされることがあります。
上申書は,内容は様々ありますが,自分が罪を犯したことや関与したことについて,自らの字で書かされるものです。時には犯行場所や,凶器を捨てた場所,凶器の絵なども描かされることがあります。

このような上申書を警察官がなぜ作らせようとするかというと,自ら自発的に罪を認めたということを記録化しておくためです。
従って,罪を認めて反省を示したり,事案解明に役立つという側面がありますが,逆に危険性もあります。
それは逮捕された直後は混乱状態であったり,記憶が定かでない中で,そのような上申書を書いてしまい,後に間違いであったことが判明しても,上申書に書いてしまったせいで,被疑者・被告人の供述が信用されなくなってしまう可能性があります。

また,体裁としては被疑者自身が書くものであっても,内容は警察官が指示することによって,被疑者自身が自発的に書いたものであることを偽装することが可能となるのです。

今は取調べが録画録音されることが増えてきましたが,録画録音されてない状態での上申書というのはとても問題が大きいといえるでしょう。

逮捕された場合に,警察官から上申書を書くように迫られた場合でも,必ず弁護士を呼び,相談してからにしましょう。

東京ディフェンダー法律事務所 坂根真也