刑事弁護ブログ

2018.08.01 刑事弁護コラム

公訴時効制度はなくなったんでしょうか

公訴時効制度とは,一定の期間が経過した場合に公訴権が消滅する制度です。時効が完成すると犯人を罰することはできません。
公訴時効制度については,平成16年に公訴時効完成までの期間が延びるなどの改正がされていますが,制度がなくなったわけではありません。
刑事訴訟法250条は,公訴時効について,次のように定めています(なお,改正法は,平成17年1月1日から施行されていますが,それ以前に発生した事件については,改正前の法律によります。)。

¡ 死刑に当たる罪については25年
¡ 無期の懲役又は禁固に当たる罪については15年
¡ 長期15年以上の懲役又は禁固に当たる罪については10年
¡ 長期15年未満の懲役又は禁固に当たる罪については7年
¡ 長期10年未満の懲役又は禁固に当たる罪については5年
¡ 長期5年未満の懲役若しくは禁固又は罰金に当たる罪については3年
¡ 拘留又は科料に当たる罪については1年

たとえば,平成20年1月1日に暴行罪を犯した場合,暴行罪の法定刑は,2年以下の懲役刑と定められていますので,3年で公訴時効が完成することになります。
もっとも,犯人が国外にいる場合や犯人が逃げ隠れているため有効に起訴状の謄本の送達ができない場合には,時効は,その国外にいる期間又は逃げ隠れている期間は,時効の進行が停止すると定められています(刑訴法255条)。

 

法律事務所シリウス
弁護士 菅 野  亮