刑事弁護ブログ

2017.04.26 刑事弁護コラム

当番弁護士制度とは?

当番弁護士制度とは,警察や拘置所に逮捕,勾留された人に,初回無料で弁護士を派遣し,弁護士から助言等を受けられるようにしている制度です。
各都道府県の弁護士会がこの当番弁護士制度を用意しています。

この当番弁護士制度は,大分県弁護士会が最初にはじめ,全国の弁護士会に広がったとされています。
従前は,起訴されて被告人という立場になった後しか国選弁護人は選任されませんでした。
起訴前の逮捕,勾留されて取調べを受ける段階では,国選弁護人はつかないままだったのです。
大分県で起きた殺人事件で,無実の方が厳しい取調べで自白をしてしまい一審で無期懲役判決を受け,控訴審で無罪となるまで約13年かかった冤罪事件がありました。
こうした事件の教訓から,大分県弁護士会が当番弁護士制度を全国に先駆けてはじめたとされています。

平成28年10月現在,一定の重さの罪の事件については,起訴前の被疑者段階でも国選弁護士が選任されます。
しかし,暴行,住居侵入,痴漢などの迷惑防止条例違反,死体損壊,死体遺棄等の罪の事件については,国選弁護人が選任されません。
また,起訴前の被疑者段階で国選弁護人が選任されるのは,勾留という10日間の身体拘束が決まった後の段階です。
勾留前の逮捕された2,3日間は,国選弁護人が選任されません。

当番弁護士制度は,現在も,このように被疑者国選弁護人が選任されない事件や,勾留前で被疑者国選弁護人が選任されない段階でも,弁護士を初回無料で派遣して弁護士から助言等を受けられるようにしている制度です。

東京ディフェンダー法律事務所 弁護士 藤原大吾