裁判員裁判が行なわれる場合、通常は、6名の裁判員の他に、補充裁判員が選任されます。法律上、補充裁判員の選任は必要的ではなく、裁判所の裁量に任されていますが(裁判員法第10条1項)、実務的には、ほとんどすべての事件で補充裁判員が選任されていると考えられます。
選任される補充裁判員の人数は、裁判員(通常は6名)の人数が法律上の上限とされています(裁判員法第10条1項但書)。実務上は、予定される審理期間によって補充裁判員の人数が変動しますが、1~3名程度のことが多いと考えられます。
補充裁判員は、裁判員と同様、法廷での審理に立ち会って、証拠書類の取調べや証人尋問等に参加します。ただし、裁判員は自ら証人への尋問を行なうことができますが(裁判員法第56条)、補充裁判員には直接尋問を行なう権限はなく、質問したい事項がある場合には、裁判官を通じて行なう運用が一般的と考えられます。
また、裁判の結論を決めるための評議において、補充裁判員は傍聴をすることができますが、意見を述べることができるのは、裁判官から求められた場合とされています(裁判員法第69条)。
このように、補充裁判員の果たす役割は、通常の裁判員と比べて限定されている面もあります。ただし、裁判員が何らかの問題により審理や評議に出頭できなかった場合には、補充裁判員が裁判員に選任されることになるため、補充裁判員も重責を担うことがあるといえます。
法律事務所シリウス 弁護士 中井 淳一