刑事弁護ブログ

2025.05.12 刑事弁護コラム

生成AIと弁護士の仕事

最近、生成AI(ChatGPT等)の発達がめざましいです。
これまでわからないことがあるとインターネットで検索する方が多かったと思いますが、最近ではまずChatGPTに聞いてみるという方もいらっしゃるのではないでしょうか。
私も、実は最近自分の刑事弁護の仕事でもこれを生かせるのではないかと思って、ChatGPTを触ってみました。その偽らざる感想を述べたいと思います(あくまで本記事執筆時点での感想、今後めざましく発展する可能性も大いにあるとは思います)。

まず、例えば担当している事件で問題になっている法解釈などを聞いてみますと、まあまあもっともらしいことを解説してきます。しかし、中には全く見当違いの解説もあり、専門家でないとその区別は難しいだろうと感じられました。
また、具体的な条文や判例を述べるのが苦手です。例えば僕が「この特別法のどこかにこういう趣旨の規定があったと思うけどどこでしたっけ?」と聞いて見ると、「○○法の○条に書いてあります!」というのですが、そこを見ると全く違う条項でした。また「何かこちらの主張の参考になる裁判例とかありませんか?」と聞いてみると、具体的な裁判例の日付をいくつか出してきましたが、判例検索システムで調べてみた限り、おそらく存在しない裁判例でした。「これは存在しないのではないか?」と問うと、「すいませんでした、存在しません」という始末です。

こうして、結局ほとんど使わなくなってしまいました。このような正確さですから、法律家以外の方が、自身が置かれた状況について法的な見解を聞きたいときに、ChatGPTの回答をもって満足するのは危険です。(それこそChatGPTが最後に必ず言ってくることではありますが)ご自身の問題は専門家に相談するのが適切です。

法律事務所創衛 弁護士山本衛